英語で旅する現地発着ツアー

世界中から参加者が集まる現地発着ツアーのご紹介と、その魅力について語っていきます

ニューヨーク発着アメリカ東海岸ツアー その11

最終日 (8月17日)

朝目覚めると、昨夜寝たときにはいなかったブライアンが戻っていて隣のベッドで寝ていた。前にもこんなことがあった。ツアー最初の宿泊地ボストンでの朝だ。あのとき鍵を持たずに部屋の外に出て戻れなくなった俺は、廊下でウロウロしながら本気でホームシックに陥ってしまった。

“あ~これからまだ何日もツアーが続くなんて耐えられない。日本に帰りたい!”、あの朝そんなことを思っていたはずなのに、今朝はまったく逆のことを考えている。“あ~もう終わってしまうなんて悲しい。まだ日本に帰りたくない!”、しかし、泣いても笑っても今日は旅の最終日。とうとう日本へ帰国する日が来てしまったのだ。


時間は朝5:00。かなり早い。そんなに早い飛行機に乗るのかというと、そんなでもなかったりする。JFK空港発11:45、アメリカン航空AA167便である。逆算していくと、余裕を持って10:00には空港に着きたい、すると9:00にはシャトルバスに乗らなければならない、となれば8:00にホテルをチェックアウトすればいい計算になる。だから5:00というのはやはり早すぎる。では、なんでそんなに早起きしたのかというと、早朝ニューヨーク観光をするためだ。

もうこれしか俺に方法は残されていない。結局昨夜は観光としてはゲッノーサティスファクションに終わってしまったので、今日少しでも早くホテルを出て、可能な限りニューヨークを観光したい。だって、このまま自由の女神も見れぬまま、おいそれと日本に帰るわけにいかないではないか!

そんなわけで早起きした俺は、顔洗って歯を磨いてすばやく準備を整える。最後にブライアンに挨拶して帰らないと悪いよな、と思いながらも、昨夜も遅かったのにわざわざ起こすのも気の毒だな、とか迷っていたら、ブライアンが目を覚ました。「もう行くのか?」とブライアン。「うん。いろいろとありがとう」と俺。「戻ったらメールしろよ」「もちろん」と最後の言葉を交わしハグをする。ちょっぴり酒臭いのはご愛嬌。さらばブライアン!


チェックアウトを済ましロビーを出る。たったの$3でマンハッタンまで行けるバスがあることを昨日知った俺は迷わずバス停へと向かう。行きにタクシーだ電車だを使ったのはつくづく無知だった。早朝のロータリーを歩きながら、頭に浮かぶはニューヨーク恋物語の主題歌。


♪ドゥッドゥぅドゥ♪ドゥッドゥぅドゥ

♪ドゥッドゥぅドゥ♪ドゥッドゥぅドゥぅ

♪誰も知らない夜明けが明けたとき

♪街の角から素敵なバスが出る…


って、出ねぇし!なんとバス停に着いて時刻表を見るとまだあと1時間以上もバスは来ない。始発遅っ!俺ん家の近くの神奈中バスだって5時台から走ってるというのに!どうしよう?まさか今しがた感動の別れをしたばかりのブライアンの部屋に戻るわけにはいかないし、このままボッーと1時間以上も待つわけにもいかない。


仕方なくタクシー乗り場へと向かう俺。せっかく安いバスの存在を知ったのに、結局タクシーか…。もうこうなったら多少金額がはったっていい。ここでケチってろくに観光できなかったら、それこそもったいない。タイム・イズ・マネーとはこのことである。実は今日まで旅を通して予定よりも全然お金を使わずに済んでいた。特にツアー中なんて特にこれといって使う場面もなかったし、そういう意味でもホントいいツアーであった。今こそ節約した金を吐き出す時来たれりである。


朝から暇そうにしてる白タクを捕まえ、まずは自由の女神と思い「バッテリー・パークへ」と頼んだ。バッテリー・パークとはマンハッタン島の最端に位置する公園である。なのでそこからなら自由の女神がたっぷり拝めるはずだ。すると「???」といった感じで反応の薄い運ちゃん。発音が悪かったのかな?と思いガイドブックの地図を見せた。しばらく地図を見た後、わかったのか地図を返されスルスルと車を走らせた。

ハドソン川の下を走るリンカーン・トンネルを抜け、マンハッタン島へ入ると、実はまだよくわかってなかったようで、もう一度地図を見せてくれという運転手。不安になりながらも地図を渡す。またしばらく走ると、今度は信号で止まったとき、その辺の奴に「バッテリー・パークって何処?」と聞きはじめる始末!“おいおい!コイツ本当に大丈夫か?”、と不安MAX。バッテリー・パークって大して有名じゃないのだろうか?

なんだかんだでやっと着いたようで車を止める運ちゃん。「そこがお前の目指している場所だ」と指を指す。どうやら間違いはないようだ?「いくら?」と聞くと、「エイティ」と答える。“え…エイティ!?$80だとぉ~!!”高い。高すぎる。いくらなんでも30分走っただけで一万円近くはないんじゃないの?

聞き間違いか?と思い、

「エイティーン?」

と聞き返すと、

「エイティ!」

と強い口調で返された。

…間違いないらしい。いくら金を吐き出す覚悟をしていたとはいえ、これはキツイ。しかし、こんなところで言い争っている時間も勇気も語学力もない俺はしぶしぶ$80を払い逃げるように車の外へ出た。チップなど払わなかったのがせめてもの抵抗だ。


ちょっと残念な気分になりながらも、気を取り直して園内に入り、端まで駆け寄る俺。そこには遂に念願の自由の女神像が…

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ない!

NAI-NAI-NAI!恋じゃない!NAI-NAI-NAI!愛じゃない!とジタバタする俺。なぜない?世紀末がきたか?地図によると間違いなくこの方向に自由の女神が…とその方向をよ~く見てみると、果てに小さく小さく見える物体が。あ…あれが自由の女神……か?なんとマンハッタン島からでは自由の女神は豆粒ほどにしかみえないのであった…完。

最端まで来てこれである。ましてや昨夜、どこだかわからん場所でブライアンに自由の女神の方向を聞いて、少しでも見えるのではないかとそちらを探してた俺の何たる愚かな事よ…。よく考えれば、自由の女神がいくら有名だといっても、たかが93mの像に過ぎない。それをまるで東京での富士山のごとく、ニューヨークの至る所で見れるように思っていたのは、そもそも大きな間違いである。

もし間近で自由の女神を拝みたいのであれば、フェリーに乗らなくてはならない。しかし当然こんな早朝からフェリーなど運営してるはずもない。やっていたとしても時間がなくてなくて乗れないだろう。ツベコベ言っても俺には明日なんかない。今日しかない。今日の、しかもごく短い時間でより多くの観光スポットを網羅するというミッションは始まったばかり。こんなに早くインポシブルしてはいられないのである。たとえ豆粒ほどとはいえ、実際に自由の女神をこの網膜に焼き付けたことは事実!

“よし!自由の女神クリア!”

と、一人納得して次の目的地へと向かう。ロウアー・マンハッタンに行き世界貿易ビル跡地のグラウンド・ゼロにも行きたかったが、とにかく時間がないので一気に観光スポットひしめくミッドタウンまで行くことにする。地下鉄に乗るために発券機にて切符を購入。すると通常$2の切符でいいところを、あせっていたため間違えて$10もする1日フリー切符を買ってしまった。なんだよコレ、どうすんだよコレ、俺もうすぐ帰るっつーの、なんたる宝の持ち腐れ…。しかも小さな駅で駅員さんも見当たらず払い戻しもままならない。“もう、いいや”と思いその切符で改札をくぐり電車に乗り込んだ。


なんか今日の俺ってばツイてない…落胆しながらも地下鉄に揺られミッドタウンへと着いた。もうそっからは怒涛のごとく観光スポットを巡る。悔しいのでフリー切符で地下鉄をフル活用してやろうかとも思ったが、むしろ駅探したり電車待ったり乗ったり面倒くさいのでフル

歩きでやってやった。もう観光スポットに着いたら見て、すぐ写真を撮って、すぐ立ち去るの繰り返し。見る撮る去る。見る撮る去る。見る撮る去る…楽しむもクソもあったもんじゃない。まさにミッション。

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クライスラー・ビル

 

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セント・パトリック大聖堂

 

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ロックフェラー・センター

 

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ラジオシティ・ミュージック・ホール

 

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タイムズスクウェア

 

観光スポットを巡りながら写真を撮りまくっていると、デジカメの電池が残り僅かになってしまった。赤いバッテリーマークがチカチカと点滅している。時間ないわ、電池切れそうだわ、いろんな意味でいっぱいいっぱい。もう朝からヘトヘトである。もうこれで最後と思っていたタイムズスクウェアに着いて写真を撮ったときちょうどバッテリーも尽きた。“えらい!えらいぞ!よくがんばってくれた!”とちっさな感動に身が沁みる。


さて一通り周れたし、いよいよ空港へ行きますか。と思い時計を見ると9:45だった。ん…?


くっ…!くじ!!よんじゅうごふん???


ヤバイ…。ヤバイではないか。トラブル発生!トラブル発生!!この旅、最後にして最大のトラブル発生!!!

だって飛行機の時間は11:45である。どんなに遅くとも30分前には搭乗手続きは済ませてなければならない。今からダッシュでシャトルバス乗ったとしても早くて10:00。すると空港までは優に1時間の道のりだから着くのは11:00。ギ…ギリギリすぎる。少しでもモタついらアウトである。

こうならないようにと、時間には細心の注意を払ってきたつもりなのに、どこで見誤ったのか?もう考えても仕方がない。とにかく急ごう、と早足でバス乗り場へと向かい、シャトルバスに乗り込む。“急いでくれ!急いでくれ!”祈るように繰り返す。バスの中でも走りたい気持ち。そんなことをしてもバスが早く着くはずないことはわかっているが、ただシートに座っていても落ち着かない。

焦燥の気持ち収まらず。ただバスは進む。すると15分くらい行ったところで窓の外に『JFK』と書かれた植え込みがあるのが目に入った。まさかな?と思いながらもゾワゾワとする心。またしばらく進んで行くと空港らしき建物が見えてきた!JFK空港かい!?早い…早すぎるよ…!いや早くていいのだ。早くていいのだ。が、なんで?

半信半疑ながらもバスは停まり、降りるとそこは間違いなくJFK空港であった。“奇跡?これぞ奇跡体験だ!こりゃ帰ったらすぐアンビリーバボーに投稿するしかねぇ!”と興奮冷めやらぬ俺。実際、奇跡なのか、もともとそういうものなのかは分からないけれど、とにかく助かった。まだ時間は10:30前である。余裕っ!


無事搭乗手続きも終え、ホッとひと安心。あとは飛行機に乗るだけ。搭乗ロビーで時間を待ちながら、ふとカメラの電源を入れてみると、なんとバッテリーが少し復活していた。“これも小さな奇跡だ”、と思い自分の乗る飛行機をパシャリ。

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離陸した飛行機の窓から見えるアメリカが、だんだんだんだん小さくなって最後には見えなくなった。窓から機内へ向き直し深く座って眼を閉じる。あれやこれやと旅の出来事を思い出していたら、やがて眠ってしまった。

長かった旅もどうやら無事に終わりを迎えたようです。

The End