英語で旅する現地発着ツアー

世界中から参加者が集まる現地発着ツアーのご紹介と、その魅力について語っていきます

ニューヨーク発着アメリカ東海岸ツアー その10

8日目 (8月16日)

朝7:00、目が覚める。昨夜も何時に寝たのかよく憶えてない。テントから出て顔を洗うため洗面所へ行く。途中何人かとすれ違い、いつものように挨拶を交わす。こうして挨拶を交わすのもこれが最後となる。ついに今日でツアーも千秋楽。残された予定はもうニューヨーク(本当はニュージャージー)の「ホリデイ・イン・セカーカス」へ帰るだけとなってしまいました。着地であるホテルに着いたらそこでツアー終了である。


朝食を食べ、テントを片付ける。荷物をまとめてキャンプ場を出たのは8:30。ニューヨークには15:00頃に到着する予定らしい。できるだけ早く着いてほしいと思う俺。いや何もツアーに早く終わって欲しいと思っているわけでは決してない。もちろん終わってしまうのは名残惜しい。しかし俺はできるだけ早くニューヨークへ戻り、しなければならないある重要な事柄に気付いてしまったのだ。それはツアーに参加するまで見落としていた大きな盲点。このツアーからごっそりと抜け落ちてしまっているもの、それは何か?

 

おわかりになるであろうか?

 

見落としていた大きな盲点。

 

このツアーに足りないある重要な事柄。

 

 

それは…

 

 


ニューヨーク観光がない!!!

 

 

そう、このニューヨーク発着のツアー「フリーダムトレイル」。ニューヨーク“発着”ということで、実はニューヨーク観光そのものは含まれていなかったのだ。これに気付いたときは愕然した。むしろニューヨークを中心としてアメリカを巡ってくると周りには言って来てしまったので、自由の女神すら拝まずに帰ったのでは合わせる顔がない。

このツアー参加者の中で、始まる前日にアメリカへ来て終わって翌日帰るというあわただしい日程を組んでいるのは俺しかいない。だから、他の人々はツアーに参加する前か後の数日間にニューヨーク観光の予定をちゃんと組んでいるのだ。ツアー終わって次の日帰ると言ったら、「え~!」と驚かれてしまった。欧州のバケーションは長いとは聞いていたがやはり感覚が違う。リアなんてツアー終わって何日かニューヨークに滞在した後、今度は西海岸の方に移動してまた別のツアーに参加するらしい。いったい何日休みがあるのか?


みんなと違い俺に残されたタイムリミットは僅か。ニューヨークを観光できるのは今日をおいて他にない。明日は飛行機の発時間が早いため厳しい。こんなことなら初日にミッドタウン着いたときもっと観光しておくべきだった。しかし、あの日の俺にそんな余裕が無かったことは自分が一番よく知っている。

少しでも早く着いてほしいとあせる反面、ツアーへの離愁はつのる微妙な揺れる乙男心。最後だからとみんなで連絡先のメールアドレスなどを交換したりしていると、なおのこと旅の余情が掻き立てられるではないか!そんな中「これにマイケルへのメッセージを書いて。書いてるところマイケルに見つからないようにね!」と小声でそっと手紙を渡された。どうやらみんなで寄せ書きして最後にマイケルに渡すらしい。お礼の言葉も感謝の気持ちもたくさんあるが、英語で書くとボキャブラリーが少ないため至って簡素な文章になってしまう。どうしよう?と悩み、それならと敢えてと日本語でメッセージを書いてみた。その方が英語で書くよりむしろ勢いで何かが伝わるのではないかと思ったからだ。


そんなこんなでラスト・ドライブは続き、15:30過ぎ。ついに戻ってまいりました。

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「ホリデイ・イン・セカーカス」!


裏門の方に回り、その傍らのベンチで最後のミーティングを始める。マイケルがなにやら用紙を配る。どうやら旅の評価やツアーコンダクターの評価などを採点するシートのようだ。大抵の項目に満足満足と評価する。ホントいい旅であった。シートの記入を書き終えた後、さっき書いた寄せ書きにチップを添えてみんなでマイケルに贈った。

「さあ、これでいよいよツアーのすべての行程は終了だ!」とマイケルが最後の話を始める。別れを惜しむ気持ちと、早くニューヨークに行かなければという相反する気持ちに苛まれながら聞いていると、「ついてはこの後ニューヨークで打ち上げやるんでヨロシク!」と言った。ズコッ!


ニューヨーク行くのかよ!!!


心の中でヘタな雛壇芸人の如く椅子から転げ落ちた。こうなると昨夜これで最後だと感傷に浸っていたのは何だったのかという気になる。


ニューヨークに行く前に、まずホテルにチェックインして荷物をおろす。少し時間があったのでベッドに横になり休息。“テントで寝るのもいいけが、久しぶりの布団はやっぱ格別”と思いながらフカフカしていると、相部屋になったブライアンが洗面所から出てきた。なんと、いつも無精髭にTシャツ短パン姿のブライアンが、髭を剃って襟付シャツ長ズボン姿ではないか!“あのブライアンにこんなフォーマルな格好させるなんて、もしやこれから行く店って高級系?”と憂慮する。だが着替えようにも俺はジーパンとTシャツしか持ってないのでどうにもならない。

17:00、再びロビーに集合。女の子たちも皆普段とは違う華やかな出で立ち。“ヤベー、俺もせめて襟付シャツの一枚くらい持って来るべきだったか?”と悔いる。しかしトーマスを見ると彼もTシャツ一枚だった。ナイストーマス!ナイスTシャツ!!ナイスメガネ!!!

揃ったところでいつものように車に乗り込む、のでは無くホテル前のバス停留所へ。今夜はバスで移動。なぜなら車はあくまでツアー用のものなので、ツアーが既に終了している今、たとえその打ち上げとはいえ車で移動はできないからだ。売店でバスの切符を購入する。なんとミッドタウンまでたったの$3だった!さささ…3ドルッ!?しかもバスはほんの30分程でミッドタウンへ着いた。“さささささ…30分っ!?”初日に電車だタクシーだと$18も使い1時間以上もかけて来た俺の苦労はいったい………。もう過去は振り返らず前だけ向いて生きていこう。そうだ。そうしよう。


ニューヨークへ到着。バスを降りて地下鉄に乗る。果たして何処へ向かっているというのか?ついてってるだけなのでさっぱり把握していない。出来るだけ主要な観光スポットの近くだといいが。自由の女神が見えるレストランとか、エンパイアステートビルのバーとか、タイムズスクウェア近辺の飲み屋とか…

一見、この『打ち上げ in ニューヨーク』という僥倖イベントによって、ニューヨークに行きたいと願う気持ちと、ツアーの終了を惜しむ気持ちとの2つが共に成就されたかのよう思えるが、それは違う。なぜなら、ニューヨークに行くことだけが願いではなく、ニューヨークに行って観光することこそが真の願いだからだ。そのためには打ち上げを楽しみながらも、出来うる限り観光の方も満喫しなければならない。

“神よ!願わくば我を少しでもニューヨークっぽい場所へ導きたまえ!そしてニューヨークと人に自慢できる写真を撮らせたまえ!”

神へ祈りをささげつつ地下鉄の駅から外に出ると、なんだかわからない場所だった。ひとついえることは主要な観光スポットではないということ。ブライアンに「自由の女神っってどの方角に建ってるの?」と尋ねると、「あっちじゃね?」と指差してくれたので、そちらの方を凝視するが何も見えない。“頭の先くらい見してくれたっていいんじゃねぇの?え!”と、さっき祈った神に対して悪態をつく。まぁ、神の方としても無神論者の俺に祈られたって困るだろう。あげく悪態までつかれたんじゃたまらない。


とぼとぼ歩いていくと、どうやら目的と思われる店に到着。普通の料理屋で別にTシャツだろうが短パンだろうがチョンマゲだろうが構わないような店だった。なんだよ。ド派手な飾り付けでいっぱいの店内。狭いが賑わっていてすごい熱気に包れている。俺たちも早速ビールで乾杯して飲んで騒ぐ。

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店内から出ると22:00を過ぎていた。よし次の店いくぞ!と盛り上がる一行。しかしトーマスたち3人はここで帰るという。なんでも彼らの今夜の宿泊先はホリデイ・インではなく、ここから少し遠いらしいのだ。さよならするのはつらいけど、仕方が無い。さらば!トーマスよ。姉ちゃんと姉ちゃんの友達とメガネを大切にな!

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残ったメンツでぶらぶらと2次会の店まで歩いている途中、エンパイア・ステートビルらしきシルエットが見えたので“これは!”と思い写真に収める。しかし本当にエンパイア・ステートビルであるどうかは今もって定かではない。

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2軒目に着き中に入ると、店内のテレビで北京オリンピックの中継をやっていた。“そういえば今オリンピック期間中だったけ?日本はメダル獲ったのだろうか?”と気になる。考えてみればこの1週間、オリンピックどころか、まるっきり日本のニュースにふれていない。何か大きな事件でも起きてやしないだろうか?とさらに気になる。クーデターとか起こってたりしたらどうしよう?

この店ちょっとおもしろくて、テーブルクロスとして白い紙が敷いてあり、たくさんの色ペンが用意されている。つまりこれでテーブルクロスに落書きOKなのだ。飲みながらワイワイガヤガヤと落書きを楽しむ。俺がドラゴンボールドラえもんの絵を描くと、それらのキャラをどれ程知ってか知らぬかわからんがとにかく上手上手と褒められた。

23:00を過ぎた頃、店を出る。マイケルとブライアンは3軒目に行くという。スージーとソニアも共に行くようだ。その他の人々はここで帰るというので、俺も一緒に帰ることにする。ということで3軒目に行く方々とはここでお別れ。「サンキューバイバイ」とイージーかつストロングな言葉をマイケルと交わしガッツリとハグ。スージー、ソニアも元気で!ブライアンも…って、相部屋だし明日の朝また会うか。


帰り道、なんだかしんみりとした空気が流れる。並んで歩くセシリーの方を見ると少し涙ぐんでいた。こんなとき気の利いたセリフのひとつも言えない自分がもどかしい。“ああもっと上手く英語が喋れれば!”いや、たとえ喋れたとしても、おそらく何も言えないだろう。だぶんそういう男だ。俺は。

地下鉄に乗り、しばらく行くと次の駅でエロディが降りるという。また少し行った駅ではマリッサが降りていった。彼女たちも宿泊先がそれぞれ違うらしい。昨日まで一緒だった仲間たちが一人、また一人と去っていく。もう俺とリアとハナとセシリーの4人だけとなってしまった。地下鉄を出て再びバスに揺られホリデイ・インに戻ったのは0:00頃であった。ホテルのロビーでしばらく別れを惜しんだ後、エレベータでそれぞれ自分の泊まる部屋へと去っていった。

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祭りの後のようなどうにも切ない気分。一人きりの部屋はあまりにも静謐だった。

To Be Continued →